ニュース

1年生オリエンテーション(大学野球応援)の実施報告

集合から観戦(応援)までの様子
上段から見る応援の様子
終了時のスコアボード
観戦記
私は「六大学」出身ではない。だから、法政に奉職するようになってはじめて、神宮球場で行われる「東京六大学」の野球観戦に行く機会に恵まれた。行く前は、学生の引率という「仕事」なので、ワクワク感はさほどなかった。しかし、そういう冷めた気持ちは、選手が試合前に守備練習でグランドに散る頃になると、五月の青い空に吸い込まれていってしまった。よく整備されたグランドに、白いユニフォームに身を包んだ選手たちが躍動するのを見ていると、これから始まる試合への期待感が自ずと高まってくる。私も昔、一人の野球少年だったからであろうか。
試合は東大の先攻ではじまり、1回裏にいきなり法政が3点を先制。でも、応援席後方にいる私からは、今一つ士気のあがらない創生科学科の1年生の様子が背中越しに見える。そういう私自身も応援のリズムやタイミングがつかめずに、ノリきれないでいる。そんな我々の応援にカツを入れに、応援団の1年生だろうか、時折、私の座席の近くまで来ては、我々を盛り上げてくれる。その甲斐もあってか、徐々に、身体と心の力みが取れ、7回裏の攻撃で法政が追加点を3点奪う頃には、1年生も私も肩を組んで左右に大きく揺れていた。彼らが法政大学に、そして創生科学科に入学して、はじめて一体感を感じた瞬間ではないだろうか。
試合はそのまま、6対0で法政の勝利で終わった。試合後、エールの交換が行われる。全員起立、脱帽、私語禁止の、これが結構厳粛な時間だ。法政のエールに続き、ダイヤモンドを挟んだ東大側(三塁側)の応援席から、「フレーフレー法政」のエール。さほど人数が多いとも思えない東大の応援席からのエールは、地響きのようにじんわりと我々のいる法政側応援席まで響いて届いてくる。創生科学科の新1年生たちは、このエールをどのように受け止めたのであろうか。エールの交換は、選手はグランドで、我々はスタンドで、ともに競い合った者同士の相手に対する敬意と自分たちへの誇りを表明する場だ。張りつめた雰囲気の中にも、五月の一陣の風のように、清々しささへ感じられる時だった。また来年も、新緑の神宮の森に、白球を追いに来たいと思った。

文: 柳川
写真:三浦,塩谷