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学際宇宙ゼミナール修了生が筆頭著者を務めるEBPM・因果推論に関する論文が『地域活性研究』に掲載されました
学際宇宙ゼミナールの修了生である富島拓海さんが筆頭著者を務める論文が、地域活性学会の研究誌『地域活性研究』Vol.24に査読あり研究論文として掲載されました。
掲載された論文は、富島拓海さんと田中幹人准教授による「居住人口に着目した中核市における中心市街地活性化政策の効果検証」です。本論文は、富島さんが本学大学院理工学研究科在学中に取り組んだ修士論文をもとに、研究成果をまとめたものです。
近年、政策立案の現場では、EBPM(Evidence-Based Policy Making:証拠に基づく政策立案)の重要性が高まっています。EBPMとは、政策の企画をその場限りの経験やエピソードに頼るのではなく、政策目的を明確化したうえで、合理的根拠に基づいて政策を立案する考え方です。
しかし、地域活性化の現場では、ある事業を実施した後に人口や通行量などの指標が改善したとしても、それが本当に政策の効果だったのかを判断することは容易ではありません。地域の変化には、全国的な人口減少、都市構造、交通環境、住宅開発、産業構造など、さまざまな要因が関係するためです。そこで重要になるのが、「もしその政策が実施されていなかったら、地域はどう変化していたのか」という反実仮想を考え、政策の効果をできるだけ厳密に推定しようとする因果推論の考え方です。
本研究では、中心市街地活性化政策を対象に、国勢調査の500mメッシュ人口データや住民基本台帳データを用いて、政策が居住人口に与えた影響を検証しました。分析にあたっては、単純な前後比較ではなく、政策の対象となった都市と対象とならなかった都市を比較しながら、政策導入前後の変化を推定する因果推論の手法を用いています。
その結果、中心市街地区域内では人口動態に一定の改善傾向が見られた一方で、市全体では政策による統計的に有意な人口増加効果は確認されませんでした。これは、中心市街地への人口回帰が見られる場合でも、それが市全体の人口増加に直結するとは限らないことを示すものであり、地域活性化政策を評価するうえで、「指標が変化したか」だけでなく、「その変化が本当に政策によって生じたのか」を検証することの重要性を示しています。
今回の成果は、大学院生が筆頭著者として、EBPMおよび因果推論の手法を用い、地域政策の効果検証に取り組んだものです。学際宇宙ゼミナールでは、福岡県八女市星野村を主なフィールドとして、地域の現場に関わりながら課題を見出し、実践と検証を往復する研究教育を進めています。今後は、本研究で扱ったようなデータに基づく政策評価の視点も取り入れながら、地域での実践的な研究をさらに発展させていきます。
論文情報
論文名:居住人口に着目した中核市における中心市街地活性化政策の効果検証
著者:富島 拓海、田中 幹人
掲載誌:地域活性研究 Vol.24
発行:地域活性学会
発行年月:2026年5月
種別:査読あり研究論文
キーワード:EBPM、中心市街地活性化、因果推論、人口メッシュデータ
関連リンク
学際宇宙ゼミナール
https://astr.k.hosei.ac.jp/
地域活性学会 研究論文集「地域活性研究」Vol.24(2026年5月発行)目次
https://www.chiiki-kassei.com/pb/cont/sale/1689
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