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山本晃輔准教授らの研究チームが嗅覚VRゲームを用いた高齢者認知機能の改善方法を世界で初めて提案
法政大学 理工学部の山本晃輔准教授、東京科学大学 総合研究院 未来産業技術研究所の中本高道教授(当時)、文京学院大学 人間学部の小林剛史教授、ロンドン藝術大学のNathan Cohen(ネイサン・コーヘン)客員研究員らの研究チームは、嗅覚VRを用いて高齢者の認知機能を改善する手法を世界で初めて提案しました。
- 嗅覚VRによる高齢者認知機能の改善方法を世界で初めて提案
- 嗅覚ゲームの体験の前後で認知テストを実施してスコアの向上を確認
- 高齢者の認知記憶機能のリハビリテーションが可能で、ウェルビーイングに貢献
高齢化社会において高齢者が快適な生活を送るためには、年齢とともに衰えていく認知・記憶機能を維持し向上させることが重要です。また、認知・記憶機能を維持向上させることは認知症をはじめ神経変性疾患の予防に役立ちます。これまでに、嗅覚刺激が認知機能の改善に有効であるという報告が心理学分野ではありましたが、刺激を直接提示する従来の方法では効果や没入感に限界がありました。そこで、嗅覚VR(Virtual Reality)を用いると実世界での刺激を没入的に楽しみながら疑似体験できるため、より効果的な認知機能改善が期待できると考えました。
本研究では、工学、心理学、芸術の研究者からなる学際的な研究チームを構成し、嗅覚VRゲームによる高齢者の認知機能の改善を実現しました。開発した手法においては、嗅覚ディスプレイ(用語2)によりVRゲームの中で香りを発生させます。体験者はVRゲーム内で最初に提示された香りを記憶した後、異なる3か所の香りの発生源に移動し、最初の香りと同じものを特定します。ゲームを行う前後で体験者に対して認知テスト(用語3)を実施します。30名の高齢者についてこの実験を行い、認知機能の向上が確認しました。
本提案は、高齢者の認知機能のリハビリテーションを行う新しい提案であり、有効な認知症予防手法としてデジタル香りコンテンツ(用語4、[1])が今後活用されていくことが期待されます。
本成果は、3月28日付の「Scientific Reports」誌に掲載されました。

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