鈴木郁 教授あいさつ

創生科学科 鈴木 郁 教授

視野を広げ、問題解決能力を磨く。
時代の波も越えていける、
「理系ジェネラリスト」を育てています。

創生科学科 鈴木 郁 教授

1997年工学部経営工学科助教授、同教授を経て2011年より理工学部創生科学科教授。専門は人間工学であるが、元々オーディオやアマチュア無線に興味があったことなどから、電気回路や電子回路にも詳しい。創生科学科では、ゼミや卒論のほか、物理学関係の実験やコンピューターとヒトの間のインターフェースに関連した講義などを担当。近年は、独自のセンサーを用いた高齢者の見守りや、段差からの転落防止のための警告機能を備えた白杖、駅構内で高齢者が聞き取りやすい拡声器用の音声加工処理などの研究を行っている。

科学のみちすじをもって、新しい時代を創生できる人に。

そもそも知的好奇心に、理系・文系の枠はありません。いかに学びの機会を広げ、そのなかでほんとうに自分がチャレンジしたいものを見つけていくか。世界のあらゆる課題や現象に立ち向かい、解決していくか。創生科学科では、そのための場と環境を用意し、これからの時代を切り開く人材を育成しています。
私たちが学びのなかでもっとも重視しているのは、「科学のみちすじ」の修得。この方法論を身につけることで、対象が変わったとしても柔軟に対処できるようになると考えるからです。それまで経験したことのないことを前にしてもたじろぐことなく、冷静に解決策を見出し、時代の変化も越えていける、と考えています。
こうした科学を基盤に、課題の本質のありかを見極め、行動できる。広い分野に進出できる知識と能力、意欲をもつ。それこそが、私たちが育成する「理系ジェネラリスト」なのです。

「理学」と「工学」の相互作用を。

例えば、理学の本質は物事の真理の追究にありますが、これを明らかにしていくためには実験や検出・分析などを行う道具づくり、工学の知見も欠かせません。こうした見地に立って、創生科学科では幅広いカリキュラムを調えています。
まずは、科学のみちすじの修得の礎となる物理学と数学をしっかり学びます。そこで修得した科学的な考え方と問題解決方法を、さまざな「フィールド」で応用できるように、科目を偏りなく横断的に選択できるしくみをつくっています。フィールド は、宇宙などの“自然”、物の根源を探る“物質”、人文・社会科学関連の“人間”、情報処理などを学ぶ“知能” の大きく4分野にわたります。
3 年生においては、PBL(Project Based Learning)と呼ばれる問題解決型授業が必修です。これは、グループをつくって自主的に題材を探すことからはじまり、メンバー同士で考え、研究し、成果を発表するもの。教員もアドバイスはしますが、あくまでも自主性に基づく実践的な学びの訓練のために採り入れられています。関心あることをやってみる。最初から最後まで自分たちでやり遂げる。それによって自信が生まれる。かけがえのない経験を通じて、多分野において問題を解決できる統合力と汎用力が養われるにちがいありません。
やってみるという観点で、もうひとつ重要なのが実験と演習。いわゆる科学的な実験だけでなく、語学や社会学における調査など、ありとあらゆるものを対象としています。結果をレポートにまとめることも必須ですので、書く力、伝える力も鍛えられます。
また、英語はもちろん第二外国語を必修とするなど、語学にも力をいれていて、第二外国語の上級レベルを学ぶこともできます。これら語学の勉強により、社会で求められる情報発信力、コミュニケーション能力を高めてほしいと思います。
さらに、将来中学や高校の教員をめざす人は、理科・数学の教職課程も履修できます。両方を取得できるのは、本学では創生科学科だけです。

楽に身につく、学びなどない。

学生たちによく言っているのは、楽な方に逃げないでほしいということ。たとえ失敗してもいい。結果をおそれず、やってみる。うまくいかなくても、その結果に至った原因を自ら探り、また挑戦すればいいと。知的好奇心を広げる気があれば、必ず自分に合った分野を見つけられます。それが見つかったら、熱中して取り組む。伸びはきっと約束されます。創生科学科には、物質、自然、数理、語学、人文・社会、知能、情報系の専門家など多彩な教員が揃っていて、基礎力・応用力・専門力のすべてを磨けるよう努めています。そこから、物事を俯瞰的・科学的な目で見て問題解決でき、社会の期待に応えうる「理系ジェネラリスト」が羽ばたいていくものと信じています。